【運動の法則】力の三要素といろいろな力①
「力」とは?
日常生活の中で、いろいろな「力」を使っています。物理学は大きく「力学・熱力学・連続体力学・電磁気学」という分類をされることがありますが、ここにも「力」という文字が入ってきます。
日常生活の中でよく扱う力は「重力」でしょうかね。
では、そもそも「力」って何なのでしょうか。高校物理では、力はこのように定義されています。
物体を変形させたり、物体の運動の状態を変えたりする原因となるもの。
たとえば、静止している物体を押したとしましょう。このとき、物体は静止している状態から、押された方向に動き始めます。
つまり、物体の運動の状態が"静止"から"運動"の状態に変わります。したがって、このとき「力」を加えたと考えることができます。
力の三要素
当たり前の話ですが、地面に置いてあるサッカーボールを蹴ると、ボールは一瞬凹んでから飛んでいきます。
これは、足がボールに対して力を及ぼしたことによって生じています。
ここから用語の説明になりますが、物体に対して力を及ぼす点のことを作用点といいます。
作用線を通り、力の向きに引いた直線を、作用線といいます。
雑な図ですみません…。
上図を見ていただいたら分かるかと思いますが、速度や加速度と同様に、「力」も向きと大きさを持つベクトルと言えます。
速度や加速度については過去に解説していますので、そちらを参考にしてみてください↓
速度は\(v\)、加速度は\(a\)を用いて表してきましたが、力は\(Force\)という英単語の頭文字の\(F\)を使って表します。
向きも持っているので矢印を付けて\(\vec{F}\)と表すことが多いです。
力の効果を決める、「力の大きさ・力の向き・作用点」の3つのことを、力の三要素といいます。
力の単位
速度の単位はm/s、加速度の単位はm/s2でした。
当然、力にも大きさを表す単位は存在します。力の単位には、ニュートン(記号:N)を用います。
質量1kgの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力が1Nです。
ちなみに、ニュートンというのは物理学者である「アイザック・ニュートン」からつけられている名称です。この方は万有引力の法則を見つけた人物と言われており、物理学にかなり大きな影響を与えています。
アイザック・ニュートンについては別のサイトの記事を紹介しておきます。
いろいろな力の種類
ここまで力の考え方などについて説明してきました。ここからは、身近に存在している、いろんな力について紹介していきます。
重力
自由落下などの落体の運動の記事でも「重力」という単語は出てきました。自由落下についてはコチラ↓
地球は、地球上の物体に対して、引く力を及ぼしています。この力を重力といいます。
重力の大きさは、次のように表されます。
\[W=mg\]
\(W\)は、物体の重力を表しており、\(Weight\)という単語の略です。
「重力」は、物体の「重さ」という風に言われることもあります。
\(m\)は物体の「質量」を表しています。質量と重さは別物なので、間違えないようにしましょう。
この式から言えることは、物体の重さは質量に比例しているということです。
ちなみに、この地球上では重力加速度の大きさ\(g\)は約\(9.8\)m/s2ですから、質量1kgの物体の重さはおよそ\(9.8\)Nです。
物体が静止していようと、自由落下していようと、運動の状態によらず、重力の大きさと向きが変わることはありません。
質量\(10\)kgの物体に働く重力の大きさ\(W\)は何Nか。重力加速度の大きさを\(g\)とする。
\(W=10g\)[N]
張力
張力とは、糸が物体に及ぼす力です。
おもりに糸を付けてつるし、静止させた状態を考えます。
このとき、糸はおもりを上に引っ張ろうとする力が働きます。この力のことを張力と言います。
この「張力」に関して、注意すべき点が一つあります。それは、「糸がしっかり伸びているとき」にのみ張力は働きます。といっても、大体の問題では、「糸がしっかり伸びている」状態ですから、そこまで問題ではないんですけどね…笑
張力は、\(Tension\)の頭文字\(T\)で表されることが多いです。
まとめ
- 物体を変形させたり、物体の運動の状態を変えたりする原因となるものを力という。
- 力は向きと大きさを持つベクトルである。
- 力の大きさ・向き・作用点のことを力の三要素という。
- 力は記号N(ニュートン)を用いて表す。
- 地球上の物体に働く、地球が物体を引く力を重力という。
- 重力の大きさは\(W=mg\)で表される。
- 糸が伸びているとき、物体を引っ張ろうとする力を張力という。
ということで、今回の記事は以上です。何か参考になる情報があれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。