【力学】水平投射とは?
物体をある高さから水平方向に投げ出すと、物体は放物線を描いて飛んでいきます。その後、地面に達します。
この運動を、水平投射と言います。図にすると、こんな感じです↓
めちゃくちゃ雑な絵ですみません…。ただ、「ある高さから物体を水平方向に投げると、自然に落ちていくよね」っていうのが頭で想像できれば、それでOKです!
では、水平投射の概要を理解したところで、この水平投射について、掘り下げていきます。
水平投射とは
今まで、自由落下や鉛直投げ下ろし・鉛直投げ上げといった、落体の運動を扱ってきました。
これまでの落体の運動と水平投射では大きな違いが1つあります。
それは…
水平投射は水平方向にも運動しているということです。
自由落下などは鉛直方向にしか運動していませんが、水平投射は鉛直方向+水平方向の異なる2つの方向に運動しています。
では、鉛直方向と水平方向に分解して考えていきます。
鉛直方向
鉛直方向っていうのは、重力が働く方向ですね。
水平投射では、鉛直方向には自由落下と同様の運動をしています。
水平方向には初速を加えていますが、鉛直方向には力を加えていません。重力の影響だけを受けて下に静かに落ちていきます。
水平方向
水平方向は、鉛直方向と直交する方向のことです。つまり、鉛直方向と垂直な方向が水平方向です。
水平投射では、水平方向には等速直線運動と同様の運動をしています。等速直線運動についてはコチラ↓
重力のような外部からの力がないため、速さは投げ出したときと同じ速さがずっと維持されます。
水平投射の公式
水平投射は\(x\)軸方向(水平方向)と\(y\)軸方向(鉛直方向)に分けて公式を導出していきます。
\(x\)軸方向については等速直線運動と同様の運動をするんでしたね。ですから、等速直線運動の公式(\(x=vt\))より、
- \(v_x=v_0 \text{ ・・・(25)}\)
- \(x=v_0t \text{ ・・・(26)}\)
\(v_x\)は\(x\)軸方向の速度を表しています。
(25)式は、水平投射の\(x\)軸方向の速度は初速から変わらないことを意味しています。
(26)式は、\(x=v_xt\)とすることも可能です。
続いて、\(y\)軸方向の運動について考えます。\(y\)軸方向は自由落下と同様の運動をしますから、自由落下の公式より、
- \(v_y=gt \text{ ・・・(27)}\)
- \(y=\frac{1}{2}gt^2 \text{ ・・・(28)}\)
- \(v_y^2=2gy \text{ ・・・(29)}\)
という3つの式を導出できます。
(27)式は自由落下の公式\(v=gt\)、(28)式は\(y=\frac{1}{2}gt^2\)、(29)式は\(v^2=2gy\)を使っています。
\(v\)が\(v_y\)に変わっているだけです。
\[v_x=v_0 \text{ ・・・(25)}\]
\[x=v_0t \text{ ・・・(26)}\]
\[v_y=gt \text{ ・・・(27)}\]
\[y=\frac{1}{2}gt^2 \text{ ・・・(28)}\]
\[v_y^2=2gy \text{ ・・・(29)}\]
ちなみに、(26)式と(28)式から\(t\)を消去すると、
\[y=\frac{g}{2v_0^2}\cdot x^2\]
という式になります。この式を見て何か気づきませんか…?
式の最後に\(x^2\)とあります。つまり、2次関数です。
したがって、水平投射の運動の軌道は、原点を頂点とし、\(y\)軸を軸とした2次関数の概形を描くということができます。
例題
ある高さの場所から、小球を速さ\(6.0\)m/sで水平に投げ出すと、\(3.0\)秒後に地面に達した。重力加速度の大きさを\(9.8\)m/s2として、以下の問いに答えよ。
(1)投げ出した場所の真下の点から、小球の落下地点までの水平距離\(l\)[m]を求めよ。
(2)投げ出した場所の、地面からの高さ\(h\)[m]を求めよ。
(1)\(x=v_0t\)より、\(l=6.0 \times 3.0 = 18\)
よって、\(l=18\)[m]
(2)\(y=\frac{1}{2}gt^2\)より、\(h=\frac{1}{2} \cdot 9.8 \cdot 3.0^2 = 44.1 \text{≒} 44\)
よって、\(h=44\)[m]
まとめ
今回の記事のまとめです。
- 物体をある高さから水平方向に投げ出したときの運動を水平投射という。
- 水平投射は、鉛直方向には自由落下、水平方向には等速直線運動と同様の運動を行う。
- 水平投射の運動の軌道をグラフに表すと、\(y\)軸は\(x\)軸を入力として\(\frac{g}{2v_0^2}\)を定数とする2次関数となる。
ということで、今回の記事はここまでです。何か参考になる情報があれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。