【ネットワーク】伝送速度の考え方
小学生の算数の時間の中で「道のり=速さ×時間」という公式を習ったと思います。
例えばある車が180kmを3時間で走り切った場合、速度は60kmになります。
ネットワークにもこのような「速さ」の概念があり、実際に速度の計算が行われます。よく、回線業者の告知で「〇〇Gbps」というフレーズを見たことがありませんか?
実際には、ネットワークの世界では「伝送速度」といって、データが伝わる速さを計測します。今回は、この計算の方法について解説します。
伝送速度の公式
ネットワークの世界では、データをどのくらい速く伝えることができるかという数値を伝送速度として表記します。単位はbps(bit per second)です。速度が速くなっていくと、kbpsやMbps、最近ではGbpsが使われていますね。
では、この伝送速度がどのような公式を見てみましょう。
伝送時間 = データ量 ÷ 回線速度
車の速度の計算では時間=距離÷速さでしたが、その公式と似ていますね。違うのは、距離のところがデータ量になっている点でしょうか。
ちなみに、データ量の単位はbitです。byteではないので注意しましょう。
パケット
これは、単純に公式に数字を当てはめて速度や時間を求めるときには不要な考え方なのですが、データがどのように送られるのかというのを理解するために必須の内容です。
例えば30MBの動画があるとしましょう。これをそのまま1つの塊としてネットワーク上で送信しようとすると、トラブルが発生します。データの中に異常が見つかった場合は、また30MBを塊として送る必要があり、効率が非常に悪いのです。
この問題を解消するために、データを送信する場合には、パケットという小さな塊に分解するわけです。小さく分解してから送ることで、もしデータの一部に異常があっても、異常な部分だけ訂正して再送信すればいいので、効率が上がります。
理論速度と実効速度
伝送時間=データ量÷回線速度によって導かれる回線速度というのは、厳密には、実効速度といいます。
その回線を使えば理論上出せる最大速度のことを、理論速度(または理論値)といいます。
実効速度が理論値のどのくらいの割合を達成できているかを示すものを、伝送効率といいます。
伝送効率は、実効速度÷理論値によって算出できます。なぜ、この伝送効率について考える必要があるかと言いますと、回線を使って通信を行う場合、理論通りの結果が出るわけではありません。1Gbpsの回線を使っていても、実際に1Gbpsで通信をできることはありません。
実際の問題にも、伝送効率が〇〇%という表記があったりしますし、実効速度と理論値をごちゃ混ぜにしないように、注意しましょう。
例題
伝送速度が40Mbps、伝送効率が60%である通信回線を使うとき、1Gbyteのデータを伝送するのにかかる時間はいくらか。
この問題について考えてみましょう。
40Mbpsというのは理論値でしょうか?それとも実効速度でしょうか?
正解は、理論値です。回線の理論上の伝送速度が40Mbpsであり、伝送効率が60%なので、
実効速度は40 × 0.6 = 24
したがって、この回線の実効速度は24Mbpsです。
1Gbyteのデータを送るので、先程の「伝送時間 = データ量 ÷ 回線速度」に当てはめると…
1Gbyte ÷ 24Mbps = 1×1000×1000×1000×8 ÷ 24×1000×1000 = 1000 ÷ 3 = 333.33333……
したがって、333秒が正解です。
間違いやすいポイントは、データ量の単位(byteではなくbit)と、実効速度と理論値の混乱ですね。この2点に気を付ければミスは防げると思います。
補足
今回の例題では1Gbyteをデータ量として計算しました。今回の例題には記載がありませんでしたが、実際にデータを送る場合には、データ量に制御情報が付加されます。データを送るためには相手の情報と自分の情報が必要になります。他にもデータを送るために必要な情報が付加されて送られます。
しかし、問題文の中で制御情報についての記載がなければ、データ量の中に制御情報も加味されているものだと考えておけば良いかと思います。
まとめ
今回は、伝送速度とパケットについて解説しました。
データを送る際はそのまま送られるのではなく、データを小さいパケットという単位に分割し、制御情報を付加して送られます。
回線の伝送速度は、伝送時間 = データ量 ÷ 回線速度によって求めることができます。
理論通りの速度が出ることはありません。理論値に回線の伝送効率を掛けた実効速度が事実上の回線の速度です。
というわけで、本日はここで終わりです。何か参考になる情報があれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。